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解雇問題Q&A

解雇を予告してから10日後に、業務災害。30日後に解雇できますか?


会社の車で3回事故、解雇有効か?

遅刻が多い者を懲戒解雇できますか

業務災害によって休業中の者に対しても、解雇の予告はできますか?

会社の経営不振を理由に監督署で解雇予告の除外認定を受けられますか?

従業員が行方不明となってしまった場合は、解雇の手続きはどうしたらよいですか?

従業員が休日にケンカで相手にケガをさせてしまいました。懲戒解雇にできますか?

即時に解雇する場合、解雇予告手当は給料日に支払ってもよいですか?

通勤災害で療養中の者を解雇できますか?

1週間無断欠勤している者を懲戒解雇したいのですが、解雇予告の除外認定を受けられますか?

部下の懲戒解雇処分事由に関連して、その上司を懲戒処分にできますか?

会社に無断でアルバイトしている社員を懲戒解雇してもよいでしょうか?

震災を理由に新卒採用の内定を取消しする事は可能ですか?

震災を理由に解雇・雇止めをすることは認められるのでしょうか?

希望退職者には割増退職金を払う必要はありますか?

業務に支障が出る突然の退職をされた場合、退職金の支払い義務は?



試用期間中の人の本採用を取消したいのですが、問題はありませんか? 

採用内定者を取消したい場合、どうすればよいでしょうか?

人員削減にあたって注意することは?

懲戒解雇について、解雇予告除外認定申請をしたらどうなるのか?

解雇予告と同時に休業命令、賃金補償は6割でいい?

入社後の雇入れ時の健康診断で異常が発見された時、解雇ができるか?

退職勧奨の許容範囲

採用後に最終学歴詐称が発覚、解雇は妥当か?

従業員の解雇について 

整理解雇の必要性が生じた場合の要件は?

1年の雇用契約を途中で解約(解雇)したいが、予告すれば可能か?

出向先で解雇を言い渡されたが?

試用期間中は自由に解雇できますか?

入院中に解雇を通告されたが?

整理解雇する場合のポイントは?








解雇を予告してから10日後に、業務災害で休業することになった労働者についても、予告日から30日経過すれば解雇できますか?


 
 
  この場合、休業期間とその後30日を経過しないと解雇できません。

ただし、休業前になした解雇の予告そのものが無効となるわけではないので、休業期間とその後30日を経過すれば、解雇の効力が発生するものと考えられます。

なお、休業期間が非常に長く、以前になした解雇の予告は社会通念上効力を失うと認められる場合は、改めて解雇を行う必要があります。





 

会社の車で3回事故、解雇有効か?

 


 
 
 

事故の大きさや事後対応など総合的に判断


法律では、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を乱用したものとして、無効」という解雇権の乱用はだめですよというルールがあります。

解雇が相当かどうかは、一つひとつの事実から判断されます。事故の大きさや本人の事故後の対応なども考える必要があります。

相談のケースでは、男性がプロの運転手であることなどから、裁判では解雇は有効となってしまいました。

ただ、有名な判例を紹介すると、約2週間の間に寝坊を2回して、ラジオニュースを放送できなかったアナウンサーの解雇が、解雇権の乱用とされました。

このアナウンサーを起こす予定の職員も寝坊したのに解雇されなかったことや、それまで勤務成績も悪くなかったこと、ミスを謝罪していることなどが考慮されたのです。

大きな失敗だけをとりあげ、即座に「解雇やむなし」とは、必ずしもできないことを示しています。 

また、使用者がむやみに解雇ができないのは国際基準です。
(朝日新聞)






 

遅刻が多い者を懲戒解雇できますか?

 


 
 
 遅刻は、決められた就業時間内に労務を提供するという労働契約の履行がなされていないことになりますから、懲戒の対象となり得ます。
 しかし、懲戒解雇の対象となる遅刻の程度は、一概に回数だけで判断できません。業務に支障をきたす程度、職場秩序に与える影響、本人の改善の見込み、前後の勤務状況などを総合的に勘案する必要があります。





 

業務災害によって休業中の者に対しても、解雇の予告はできますか?

 


 
 
 労働基準法19条では、解雇制限の期間中は、解雇することができないとされていますが、解雇の予告までは制限されていません。

 例えば、休業期間の最後の日に解雇の予告をしておけば、30日経過後に労働契約を終了させることも可能です。







 

会社の経営不振を理由に監督署で解雇予告の除外認定を受けられますか?

 


 
 
 会社側の理由で解雇予告の除外認定を受けられるのは、やむを得ない場合に限られます。
 やむを得ない場合とは、天災事変(不慮の災害)やこれに準ずる不可抗力的な事態が発生したときをいい、会社の経営不振といった理由では認められません。




 

従業員が行方不明となってしまった場合は、解雇の手続きはどうしたらよいですか?

 


 
 
 労働者が行方不明の場合は、裁判所の掲示版に掲示し、かつその掲示があった旨を官報・新聞に掲載する公示送達の方法があります。
 また、労働者が行方不明になった状況や過去の勤務状況、連絡の有無、連絡がとれなくなってからの期間などから、会社をやめるつもりで姿を消したことが明らかである場合は、黙示の自己退職として取り扱うことも考えられます。




 

従業員が休日、酒に酔ったうえでのケンカで相手にケガをさせてしまいました。懲戒解雇にできますか?

 


 
 
この場合は、休日の行為ですから、私生活上の行為です。
 本来、懲戒解雇は、服務規律に違反した労働者を対象とするものです。
 私生活上の行為を理由として解雇できるのは、犯罪や道徳的・社会的に見て不名誉な行為によって会社の名誉や信用が著しく傷つけられた場合などに限られます。
 したがって、お尋ねの場合が、このような場合に該当するか否かによって解雇できるかどうか判断することとなります。



 

即時に解雇する場合、解雇予告手当は給料日に支払ってもよいですか?

 


 
 
解雇の予告をしないで即時に解雇するには、解雇予告手当を支払うことが条件です。
したがって、解雇と同時に予告手当を支払わなければなりません。






 

通勤災害で療養中の者を解雇できますか?

 


 
 
通勤災害の場合は、もともと事業主の管理支配下にあって発生した事故ではありません。労災法上は、通勤災害も保険給付の対象としていますが、労働基準法では解雇について制限を設けていません。






 

1週間無断欠勤している者を懲戒解雇したいのですが、解雇予告の除外認定を受けられますか?

 


 
 
 監督署の判断基準では、2週間以上の正当な理由のない無断欠勤の場合が除外認定の対象とされています。

 1週間の無断欠勤の場合は、通常除外認定は受けられません。この場合、就業規則などで定める懲戒解雇の事由にあたり、解雇が客観的に合理的な理由があって社会通念上相当と認められる場合には、解雇そのものは可能ですが、即時解雇することはできず、解雇の予告または予告手当の支払いが必要となります。






 

部下の懲戒解雇処分事由に関連して、その上司を懲戒処分にできますか?

 


 
 

 上司の管理責任を問う場合の根拠規定を就業規則に定めておけば可能でしょう。





 

 会社に無断でアルバイトをしている社員がいるのですが、副業禁止を理由として懲戒解雇したいと思っています。可能でしょうか?

 


 
 

 二重就業の禁止規定に違反しただけでは、実態として懲戒解雇はできないと考えられます。

アルバイトをすることに会社の許可を取っていなかった事も、訓告などの軽い懲戒処分とし、始末書を取るなどの対応をすべきでしょう。

今回のケースでは、本人からアルバイトの内容などの事情を聞く事が先決です。
次に、会社の就業規則の二重就業の禁止規定について本人に説明し、会社の許可を取るように指導しましょう。

会社の許可が得られないようなアルバイトであれば、アルバイトを辞めるように伝え、それでも辞めないときは、退職の手続きをするよう本人と話し合うことになります。




 

 震災に伴い、事業活動が縮小している為、来年度の新卒採用の内定を取消したいと思っています。内定者の取り扱いで留意することはありますか?

 


 
 

 採用内定を得ている方については、可能な限り入社できるよう最大限努力をいただければと存じます。

採用内定により労働契約が成立したと認められる場合には、採用内定取消しは解雇に当たり、労働契約法第16条の解雇権の濫用についての規定が適用されます。

したがって、採用内定取消しについても、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、権利を濫用したものとして無効になります。




 

 今回の震災を理由に雇用する労働者を解雇・雇止めすることはやむを得ない対応として認められるでしょうか?

 


 
 

 震災を理由とすれば、無条件に解雇や雇止めが認められるわけではありません。

解雇については、法律で禁止されている事由以外の場合は、以下のようなルールに沿って適切に対応する必要があります。

法律で禁止されている事由の例
労働基準法第19条:業務上の傷病による休業期間及びその後30日間の解雇

①期間の定めのない労働契約の場合
労働契約法第16条では、「解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と規定されています。

裁判例における、整理解雇の有効性の判断基準は、以下の4つです。
1.人員整理の必要性
2.解雇回避努力義務の履践
3.被解雇者選定基準の合理性
4.解雇手続の妥当性

②有期労働契約の場合(パートタイムなど、期間に定めがある契約形態)

労働契約法第17条では、「使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。」と規定されています。

有期労働契約期間中の解雇は、期間の定めのない労働契約の場合よりも、解雇の有効性は厳しく判断される点に留意が必要です。

震災に伴う経済上の理由により事業が縮小した場合、解雇せずに休業をし、休業手当を支払うなどの要件を満たせば、「雇用調整助成金及び中小企業緊急雇用安定助成金」が利用できますので、厳しい経営環境だとしても、出来る限り雇用を続けることが望ましいでしょう。







 

 人員削減の一環で、特に名指しせず、条件も明示せずに早期退職の募集をしました。
募集に応じた人には、「自己都合ということで退職金は基準額の50%」と伝えたところ、「割増退職金がないのは納得できない。せめて事業縮小という会社都合なのだから100%払ってほしい。」と言われました。
どのようにすればよいでしょうか?

 


 
 

 規定次第では法的に問題ないが、現実的には難しい

就業規則にて、
「事業上やむを得ない事由によるときに該当して退職し、または解雇されるときは、基準額の100%を支給する」、
「従業員が事業上やむを得ない事由によって解雇されるときには、基準額に標準月収の1ケ月分の加算を行う」、
「自己の都合により退職するときには基準額の50%」、
などと規定されているとすると、50%支給は妥当な処置であるともいえます。

しかし、早期退職を希望した理由は「やむを得ない状況であった」と、文章などの証拠を提示して主張してくる可能性もあります。
今後も経営を続けていく為に早期退職制度の実施もやむを得ないと選択するのであれば、割増退職金を支払うまでではありませんが、会社都合による退職にし、退職金は減らさない方がよいでしょう。




 

 役付者(係長)が突然退職願を出し、それ以来出勤してこないので、懲戒解雇したところ、本人から退職金を支払えと言ってきました。
就業規則は以下のようになっていますが、支払義務はありますか?

退職を希望する場合は遅くとも1ケ月前、役付者(当社では係長以上の者)は6ケ月以前に退職願を提出し、会社の許可を得なければならない。

 


 
 

 退職の申し出から2週間後には雇用契約は終了する。

退職の規定において「会社の許可を得ること」、「○ヶ月前に報告する」等の旨を定めること自体は違法ではありません。

民法627条では、退職(解約)の申し入れについては2週間後(完全月給制の場合は退職する月の前半中に(末日退社の場合)、年俸の場合は3カ月前に予告後)に退職は成立するとしています。
さらに、労働基準法第20条では、解雇については予告期間を30日としていますが、辞職については何ら規定を設けていません。

よって、今回のケースでは、懲戒解雇は無効となり、退職金の支払い義務も発生することになります。





 

 試用期間中の人の本採用を取消したいのですが、問題はありませんか?
A君をコンクリートミキサー車の運転手として3か月の試用採用しました。入社3か月経過近くに、下車時にミキサー車のドラム内の羽根の回転を止めたまま放置し、生コンクリートを固めてしまいました。さらに、この事実を知った後においても、上司に相談せず、いきなりミキサーのスイッチをいれてしまいました。
 このため、本採用を取りやめたいのですが、問題はありませんか?

 


 
 

 不適格の者であれば、本採用を拒否(解雇)できます。
 一般的に、試用期間(2~6ケ月が通例)では、実際の業務適応性などを見て、「引き続き雇用」か「適格性を欠くと認められる」場合は辞めてもらうこととされています。ようするに試用期間中は、適格性の判定に広い裁量権が留保されているので、就業規則などに定められた厳格な基準や解雇手続を要しません。
 質問の場合、このようなミスは就業上の常識で、ミキサー運転手として、適格性が欠けると判断されるため、本採用拒否は正当でしょう。




 

内定を取り消す場合、解雇予告手当の支払いが必要なときはどんなときでしょうか?

ケース①経営の悪化に伴い、民事再生の申し立ても検討している状況なので、採用を取消したい。
ケース②内定者の中に、思想上好ましくない者がいることが分かったので、採用を取消したい。

 


 
 

 企業が、新規に学校卒業者を従業員として雇い入れるようとし、手続を経て採用内定通知をした場合には、問題が生じます。

 採用内定通知は、「準備手続としての行為」にすぎないとみられることもありますが、何らかの契約(採用内定契約、解約権権保留付労働契約等)が成立していると解釈されています。
 よって
内定取消には、合理的な理由が必要です。

ケース①の場合⇒合理的理由にあたります。
ケース②の場合⇒少なくとも30日前に予告をするのが、適当です。
(予告する日が30日に足りない場合は、その日数分の解雇予
告手当を支払う)




 

事業運営が困難になり、希望退職の募集や従業員の解雇という非常手段を実行します。人員削減後、人事異動を行うのですが、会社と従業員の間でトラブルが予想されます。この際に注意することはどのようなことでしょうか?

 


 
 

 スジの通った就業規則を作っておく事(確認する事)が重要です。

 経営者は、本人の希望をなるべく尊重し、できれば承諾・同意を得て、各人の能力に応じた仕事を割り当てを行わなければなりません。しかし、どうしても従業員の希望に反した異動、人事管理をせざる得ないこともあるでしょう。さらに、解雇や退職金の問題では、異動よりも激しいぶつかり合いになります。これらの問題は、人事相談や苦情処理制度等を充実させ、人間関係を重視した管理を行っていたとしても、弊害が出てきます。

 そのため、法律上もスジが通った就業規則などで、基準を明確にした労務管理が必要です。




 

懲戒解雇について、解雇予告除外認定申請をしたらどうなるのか?

 


 
 

・懲戒解雇についてのQ&A
<労働基準監督署へ解雇予告除外認定を申請する場合>

原則の流れ    「申請⇒認定⇒解雇」

申請してから認定されるまでに早くて2週間かかります。
(1カ月以上かかる場合あり)
よって、実際には、下記の問題が出てきます。

Q1.申請した後、認定が出るまで解雇できないか?
A1.労働基準監督署に申請書を提出した後であれば、
解雇通知をしてよい。
実務的な流れ   「申請⇒解雇⇒認定⇒効力遡及」
※通達「申請後認定処分が出るまでに解雇をしても、その後認定が出たときはその処分は申請のときに遡って効力が発生する」

Q2.認定がされなかったときは、どうすればよいか?
A2.解雇予告手当(即日解雇であれば30日分)を支払う必要がある。

Q3.懲戒解雇したあとから、解雇予告除外認定申請ができるか?
A3.一旦違法になった後からの申請で違法状態は解消できない。
※通達「認定申請を遅らせることは違法である」







 

会社から解雇予告を受けたと同時に休業(賃金6割)を命じられました。
解雇予告なら30日分の賃金を受けるはずなので、違法ではないでしょうか?

 


 
 

従業員を解雇する場合(労働基準法第20条)は通常、以下の方法があります。
①30日前に予告するか、30日分の平均賃金(解雇予告手当)を支払う。
②予告と解雇予告手当の併用(例:10日前に予告し、20日分の平均賃金を支払う)をする。

会社が休業を命じた場合、民法536条第2項に賃金請求権が確保されており、労働関係が存続しているので、労働基準法第20条の違反(6カ月以下の懲役または30万円の罰金)ではないとされています。
よって、休業の代わりに30日分の解雇予告手当の支払いを求めても認められないでしょう。

賃金請求権の行使ということで、100%の賃金と60%の休業手当の差額を裁判で請求可能ですが、民法上の請求が認められないケースも有り得えます。






 

 入社後の雇入れ時の健康診断で異常が発見された時、解雇ができるか?

 


 
 
  この問題も正当な解雇理由になるか否かに帰着する。したがって、当該疾病が従事する業務に影響を与えるようなものであれば、正当な理由になる場合もあると考えられる。採用のための健康診断書を取っておけば、このようなことは防ぐことができる。






 

 退職勧奨の許容範囲
 当社では業績の悪化に伴い、今後退職勧奨を行おうかと考えています。できの悪い従業員だけ勧奨したいのですがトラブルは起こしたくありません。退職勧奨はどの程度のレベルまで許されるのでしょうか?

 


 
 
  退職勧奨は、最終的には本人の任意の意思に基づいた退職とする必要があります。半強制的だったり執拗な勧奨は不当とされ、退職そのものが無効とされることもあります。

(解説) 退職勧奨は、いわゆる「肩たたき」と称され、以前から広く行われてきました。解雇では角が立つので形のうえでは任意退職にするという中間的な存在で、いかにも日本的な方法といえます。
 実際の運用では、懲戒解雇に代わり温情的に任意退職とさせるもの、リストラの一環として行うもの、定年間近の削減策として行うもの等があります。完全に違法ですが、組合潰しとして行われることもあります。










 

 採用後に最終学歴詐称が発覚、解雇は妥当か?
 就職する際に大学中退の経歴を高卒と偽って採用試験を受けていた30代男性。入社後に大学中退の経歴を隠していた事実が発覚。人事担当者から「就業規則違反で解雇処分に該当する」と言われた。全くウソの学歴を申告していたわけでもなく、解雇処分には納得できないと憤る。この場合、解雇は妥当か?

 


 
 
  一般に採用試験の受験者は、学歴や職歴などを記載した履歴書を提出する必要がある。履歴書は能力や適正の判断材料になるので、正確に記載しなければならない。ところが「経歴ほどの実力がない」などの理由から、自らの学歴を低く申告するケースもある。志望者側が「高校を卒業したのは事実で、全くウソというわけではない」と考えがちなのも、こうした経歴の詐称につながっているようだ。学歴を高く詐称するのではなく、低く詐称するのならば問題はないのだろうか。労働法実務に詳しい嘉納英樹弁護士は、学歴を高く詐称するか低く詐称するかに関係なく、虚偽の学歴を申告する行為自体が問題と指摘。「最終学歴の詐称は重要な経歴詐称とみなされ、解雇処分になる可能性が高い」と話す。

 公務執行妨害罪による逮捕をきっかけに、大学中退の最終学歴を高卒と偽っていた点が明らかになった社員の懲戒解雇の是非が争われた裁判で、東京高裁は1991年、「最終学歴は労働力評価や企業秩序の維持に関する事項であり、真実を申告する義務がある」との判断を示している。過去の裁判例をみる限り、最終学歴の詐称は重要な経歴の詐称に当たり、懲戒解雇になる可能性が高い。犯罪歴はどうか。東京高裁の懲戒解雇を巡る裁判では、社員が採用時に刑事裁判の公判中で保釈中であったことも明らかになった。

 会社は「勤務への影響などを判断する必要があるから、刑事事件の公判中であることを会社に告知すべき義務があった」と主張したが、裁判所は「公判継続の事実について積極的に申告すべき義務があったといえない」と判示し、会社の主張を認めなかった。

 採用ルールなどを定めた職業安定法は、採用目的に必要な範囲で求職者の個人情報を収集しなければならないと規定する。「犯罪歴は能力と適正と無関係。本籍や親の資産状況と同じように必ずしも申告しなくてもよい」(嘉納弁護士)が、学歴詐称は問題となるので注意したい。






 

 従業員の解雇について

消費者金融から会社に電話が頻繁にかかってくる従業員を解雇できるか。また、賃金を差し押さえられた場合はどうしたらよいか?その場合解雇できるか?

 


 
 
 
賃金の差し押さえについては、債権者に支払うか、又は供託することになる。ただいずれにしてもこの程度では正当な解雇理由にはならない。





 

 整理解雇の必要性が生じた場合の要件は?

 


 
 
 整理解雇とは、経営上の理由により、事業の廃止または縮小をしなければならない事情が発生した場合に、やむを得ず労働者に対して行う解雇のことをいい、普通解雇の一つといえます。
部門や支店など企業の一部が閉鎖され、従業員が解雇されるのも、その一例です。

この整理解雇は、従業員側に何の非もないのに職を失い、収入源を絶たれるという大きな打撃を受けます。

よって解雇の中でも最も強い正当理由が要求されるといわれています。整理解雇が有効となるための要件としては、次の4つがあげられています。

すなわち

①経営上、人員削減の必要性があること

②残業時間の制限、経費削減や新規採用の停止など、解雇を回避するため努力を尽くしたこと

③解雇される者の選定基準が合理的であり、かつ、適正に適用されたこと

④整理解雇の必要性や内容について従業員に説明、協議する義務を尽くしたこと






 

1年の雇用契約を途中で解約(解雇)したいが、予告すれば可能か?

 


 
 
 1~5年の契約とすると基本的にはその期間の雇用を保障することになり、やむを得ない事由以外の会社側の事由により途中で解雇(契約解除)する場合は残期間の賃金保証の問題を生ずるので、それを踏まえた上で契約期間を設定すること(民法第628条、第541条)。また、同じ理由で労働者の一方的な退職も損害賠償の対象になる。

 なお、平成16年1月施行の労基法では、1年を超える期間の契約を締結した場合は、1年経過後は労働者からの契約解除(退職)は民法の規定にかかわらずできることとなっている。(3年後に再検討。)
 1年の雇用契約が「雇用保証(保障)期間」と解釈される場合は、労基法第20条の手続きと正当な理由があれば解雇可能である。




 

出向先で解雇を言い渡されたが?
 関連会社に出向した30代の社員。慣れない仕事でやる気が出ず、職場でトラブルを起こしてしまった。上司に「業務に重大な支障が出ているので、辞めてもらえないか」と言い渡された。籍を置いていない会社に解雇されるのはおかしいと思うのだが?

 


 
 
 権限を持つのは出向元

ポイント ①出向先が持つのは、日常業務に関する指揮命令の
                  権限                                                                                                                                                                           
      ②解雇するには出向を解き、出向元が対応する。



 出向は転籍と違い、元の会社に籍を残したまま関連会社や取引先などで労務を提供することをいう。出向先の企業には日常の業務に関する指揮命令の権限はあるが、解雇権はないとされる。
 そのため、「受け入れた社員に問題がある場合は、会社は出向元に相談し、出向を解いてもらうしかない」(労務問題に詳しい弁護士)。出勤停止や減給など、解雇以外の懲戒処分の権限については出向先が持つことが多いが、場合によっては出向元が持つことや連名で行うこともあるようだ。
 通常は出向元と出向先の間には、業務に支障が出た場合などは、期間の途中でも社員を戻すことができるとの取り決めがある。
 戻すこと自体は、「すぐに出向元での社員の身分が失われる訳ではないので、労働者保護の観点からの制約はない」(労務問題に関する企業アドバイスを手がける弁護士)という。戻した社員について、注意や指導をするか、解雇するかは出向元が改めて判断することになる。
 出向先で起こした不祥事を理由に、出向元が社員を処分することができるかどうかについては、裁判例がある。1984年2月の静岡地裁沼津支部の判決では、出向先で決められた作業に従事しなかった従業員に対する、出向元による懲戒解雇が認められた。
 「出向先での勤務態度は実質的には出向元での勤務態度と同視して評価できる」とし、出向を解除したうえで懲戒解雇をすることは許されると判断した。
 とはいえ、出向先での部下に対する注意義務違反などについては、出向元の企業秩序に及ぼす影響が間接的にとどまるとして、解雇を認めなかった判決もある。結局、出向元による処分の妥当性は「両者の関係の深さや、不祥事が出向元に与えた影響の大きさなどを考慮して決めることになる」(労務問題に詳しい弁護士)ようだ。
 なお、社員の側から退職を希望する場合も、退職届は就業規則などに定められた手続きに従って出向元に出すことになる。







 

試用期間中は自由に解雇はできますか?

 


 
 
 解雇する場合は30日以上前に予告するか又は、30日分以上の平均賃金を支払う必要があります。(平均賃金を支払った日数分の予告期間が短縮される)
試用期間中でも自由に解雇は出来ません。但し、採用ミスに気づいて、辞めさせたいのであれば、入社後14日以内であれば解雇の予告も予告手当も必要ありません。14日は、労働日ではなく暦日です。つまり、会社の休日も含めます。
 とはいっても、好き勝手に解雇はできません。客間的に合理的と認められる社会通念上相当でなければいけません。






 

入院中に解雇を通告されたが?

 交通事故に遭い、現在治療中です。入院1ヵ月後に、契約社員として働く勤務先から契約解除を通告されました。入社する際、健康で意欲がある限り契約更新して働ける、という説明を受けましたが、まだ会社の業務に復帰できる状態ではありません。解雇を受け入れるしかないのでしょうか?

 

 


 
 
合理的理由なければ解雇は不当  

 
労働基準法では、労働者保護の立場から、一定の事由にあたる場合は解雇できないとする「解雇制限」が定めてあります。さらに判例上では、合理的理由のない解雇は、使用者の解雇権の濫用であり、無効とされています。
 契約社員ということですが、基本的には正社員の場合と同様に考えていいと思います。
 事故が業務上で発生した場合、「負傷の療養のため休業する期間及びその後30日間は解雇できない」(労働基準法19条)とする法律上の解雇制限事由にあたるため、解雇は無効ということになります。
 交通事故が私的に起こったもので労災と認められない場合は、一見解雇ができるように思われます。しかしこの場合にも、直ちに解雇が認められるわけではありません。
 会社の就業規則に、「業務外の傷病により ヵ月以上欠勤した場合に休職を命じ、休職期間が満了しても休職事由が消滅しない場合に解雇することができる」という趣旨の規定があるのが一般的です。このような規定がある場合には、すぐには解雇できないことになります。
 仮にこのような規定がない場合には、合理的理由があれば解雇できることになりますが、その判断は個別の具体的な事情によって異なります。まだ職場に復帰できていないとしても、入院1ヵ月の段階で復帰の具体的な見通しが立っている場合であれば、解雇の正当性には問題があると思います。また、復帰してすぐに従来と同様の仕事がこなせないとしても、会社は適切な業務への配置換えをするなどして対応すべきだと考えられます。しかし、事故の態様、当該社員の業務内容、会社の規模などの事情によって判断が異なる可能性もあります。

場合によっては加害者への損害賠償請求も

 ところで、契約社員とは有期雇用契約により雇用期間が定められた社員のことで、契約期間中の解雇は、やむを得ない事由がない限りできないことになっています(民法628条)。その意味では、正社員より解雇が制限されていると言えなくもありません。ただ、解雇が制限されるとしても、雇用上の地位は原則として契約期間が終了するとともに消滅することを正しく認識しておく必要があります。
 なお、交通事故の加害者がいる場合、事故による負傷を理由とした解雇が有効であるとすれば、事故との因果関係が認められる可能性は高いでしょうから、加害者が加入している自賠責保険や加害者に対する直接請求により、休業損害などが補償される可能性があります。







整理解雇する場合のポイントは?

次の4つの整理解雇の要件で特に注意を払う必要があるポイントはありますか?
①経営上、人員削減の必要性があること
②残業時間の制限、経費削減や新規採用の停止など、解         雇を回避するため努力を尽くしたこと
③解雇される者の選定基準が合理的であり、かつ、適正に適用されたこと
④整理解雇の必要性や内容について従業員に説明、協議する義務を尽くしたこと

 

 
なかでも、支店や部門の閉鎖では、②の解雇回避努力義務がよく焦点となります。
解雇される従業員はたまたま配属された職場がなくなるわけです。本人に責任はないのですから、会社としては、解雇は最後の手段として、他の部門へ配転や出向などさせて雇用を続けられるように努力する義務があります。

*過去には、大手企業が赤字部門だった地方営業所を閉鎖し、女性社員を整理解雇した裁判例があります。
会社は関連会社に転籍を打診しましたが、高い賃金体系を理由に断られました。

そこで、勤務地を限定した「地域職」だった女性社員を、限定しない「総合職」へ転換し、転勤させることを打診したら、本人が断ったため解雇しました。

判決は、①、③、④の要件は満たすが、②で重大な違法性があるとして、解雇無効としました。
転籍の打診にあたっては、関連会社が受け入れ可能な労働条件を真摯に検討して提案することもできたはずだった、また、総合職への職種転換の提案は、家族を抱えた社員がそもそも応じる可能性が低いことは明らかだった、などと指摘。

社員はローンなどを背負い失職の打撃が大きく、一方で会社は雇用を続ける経済的余力が十分あり、解雇回避に最大限の努力をすべきなのに真剣に取り組まなかった、と判断したのです。